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A Japanese heart and mind to the world over

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@Christy

NO.410
平成19年9月30日
September 23,2007

● ほほえみと愛の手
    English translation: Sakai, Takahiko
         English consultation: Frances Ford



1.真民さんからのメッセージ:

風の人


風のように来て
風のように去った
マザー・テレサ
サンダル履きの
素足の姿が
いつまでも
目に残る
思うに
ふわついた今の
日本の土は
この人の足には
踏みごたえ
しなかったであろう
誠実さを
なくしてしまった土は
この国に生まれた者にさえ
悲しみを抱かされるからだ


添削:by Prof. Dr. Dieter Riemenschneider
            Jan Kemp Riemenschneider)
  ( )削除
 [    ] 挿入


A Visitor (on the) [in a] Gale


A visitor came here like (the) [a] gale
 and has gone in the same manner.
The visitor, Mother Teresa, wore sandals, sockless.
Her figure still lingers before my eye.
I'm afraid Japan's soil,
 unstable and undependable in recent years,
 has probably not been worth of her stepping on [it].
Why not?
 Because the soil having lost its own sincerity
 creates a feeling of grief
 even among people born here in this country.
 
 
 
 (できあがり)

A Visitor in a Gale


A visitor came here like a gale
 and has gone in the same manner.
The visitor, Mother Teresa, wore sandals, sockless.
Her figure still lingers before my eye.
I'm afraid Japan's soil,
 unstable and undependable in recent years,
 has probably not been worth of her stepping on it.
Why not?
 Because the soil having lost its own sincerity
 creates a feeling of grief
 even among people born here in this country.
 




2. マザー・テレサからのメッセージ

Yesterday is gone,
Tomorrow has not yet come.
We have only today to be busy,
to take care, to love
and to be loved.

きのうは過ぎ去りました。
明日はまだやってきておりません。
いまここにあるのは今日だけです。
さあ,せっせと励み,気配りをし,
人さまを愛しみ,
人さまから愛しみをいただいてください。

(英文:寺田一清(編)『マザー・テレサのことば 愛のほほえみ』
 1999. p16.  和訳:坂井孝彦)

※ 上記の書のp11に寺田先生のつぎのような一文があります:
「マザー・テレサが来日された時のビデオを拝見しました。
まことに飾り気のない気さくな「お母さん」の印象です。
どんな人でも,特に障害者の方には
自ら近づいてほほえみと愛の手とさしのべられました。
そしてそのお声は力強くリズミカルなものでした。
お祈りの姿の敬虔なことで熱いものを感じました。」

※ マザー・テレサは1979年にノーベル平和賞を受賞。
日本にも三回訪問され,
祈りと愛と奉仕について語られました,ということです。


● 英語母語者の潜在意識と冠詞の使い分け方の感覚(その6)

7 (a) ΦJapanese history 対 the Japanese history
  (b) ΦJapanese culture 対 the Japanese culture
  (c) ΦJapanese literature 対 the Japanese literature
  (d) ΦJapanese traditional music 対 the Japanese
traditional music
  (e) ΦJapanese education 対 the Japanese education 
 (f) ΦEnglish Literature history 対 the English literature
history
  (g) the Japanese economy 対 ΦJapanese economy 

 (7a−f)では前者が、(7g)では後者が多用されている。
なぜ(7g)では、Japanese economyではなくて、
the Japanese economyが多用されるのであろうか。
多くの指南書や参考書は「理屈はともかく
Japanese economyではなくて、
the Japanese economyを使いなさい」と示唆している。
 
 (7a−f) におけるそれぞれの「φ表現」は、聞き手の同定を期
待していない「日本歴史」「日本文化」「日本文学」「日本の伝
統音楽」「日本の教育」という感じのする表題表現を想起させる。
 これに対して,(7g)におけるthe Japanese economy=「日本経
済」は「米国経済」「欧州経済」などの「他国の経済活動規模=
稼ぎ高」との対比が意識されている表現のように感じられる。
 the Japanese economy: that kind of economy developed by
Japan as opposed to that kind developed by other countries.
 
 この対比を意識せずに国家などの経済一般や経済活動一般を
述べる場合には,定表現ではないJapanese economy やeconomy
of Japan が英語母語者には発想されるように感じられる。ある
一国の経済(規模)は、他国のそれとの対比の対象になりやすい
が、ある一国のたとえば教育情勢は、他国との対比にはそれほど
敏感ではないかもしれない。もしそうならば、このことが冠詞の
使いわけ方にも反映されてくるのだ、ということになる。本稿の
表題にみられるEnglish Literature history, the English
Literature historyにも同様なことが言えるのではなかろうか。


3.Google検索による検証

 (7a−g)についてGoogle検索によるヒット件数による使用頻度
の多少を調べてみた。(2006年3月)
 
 下記の検索結果を見る限りにおいては,(7a−f)においては無冠
詞表現が優勢であり,(7g) においては定表現the Japanese
economyが,無冠詞表現ΦJapanese economyよりも優勢である
ことを確認できた。ただし,無冠詞表現ΦJapanese economyも
あなどれないヒット件数を数えており、かなりの頻度で使われて
いることがわかった。
 もうひとつ得られた知見は、Tokyo UniversityとThe
University Of Tokyo との対応に関するものである。下記にみら
れるように、この二通りの言い方は、(先述したように)いつも
可逆的に機能するとは限らないし、下記にみられる通り、その使
用される頻度にもかなりの差がみられる。
 
(1) a. “the Japanese history” 「日本の歴史ハ---」 18,800件
   b. “Japanese history”  「日本の歴史」   1,380,000件 (〇)
   c. “the history of Japan”                      93,400件
   d. “history of Japan”               303,000件(△)
(2) a. “the Japanese culture”                    274,000件
   b. “Japanese culture”            5,070,000件(〇)
   c “the culture of Japan”                       31,100件
   d. “culture of Japan”                 363,000件(△)
(3) a. “the Japanese literature”                   53,700件
   b. “Japanese literature”             910,000件(〇)
   c. “the literature of Japan”                     280件
   d. “literature of Japan”                      29,100件(△)
(4) a. “the Japanese traditional music”              134件
   b. “Japanese traditional music”               30,600件(〇)
   c. “the traditional music of Japan”              290件
   d. “traditional music of Japan”                 680件
(5) a. “the Japanese education”                  40,700件
   b. “Japanese education”                     164,000件(〇)
   c. “the education of Japan”                     137件
   d. “education of Japan”                       33,700件(△)
(6) a. “the English Literature history”                42件
   b. “English Literature history”               130,000件(△)
   c. “the history of English Literature”            37,300件
   d. “history of English Literature”              239,700件(〇)


(7) a. “the Japanese economy” 「日本経済ハ-----」1,090,000件(〇) 


   b. “Japanese economy”      「日本経済」     338,000件(△)
   c. “the economy of Japan”                      14,900件
   d. “economy of Japan”      「日本の経済」      53,500件(△)
(8) a. “the American economy”                 4,960.000件(〇)
   b. “American economy”                      532,000件(△)


4.the Japanese economyについての用例(出所:Wikipedia,
2006/3/19)とその使い方についての考察

 Japan's industrialized, free-market economy is the world's
third-largest by purchasing power parity (PPP) after the
United States and China, and second-largest by market
exchange rates. Its economy is highly efficient and
competitive in areas linked to international trade, but
productivity is lower in areas such as agriculture, distribution,
and services. After achieving one of the highest economic
growth rates in the world from the 1960s through the 1980s,
the Japanese economy slowed dramatically in the early 1990s,
when the "bubble economy" collapsed. Its reservoir of
industrial leadership and technicians, well-educated and
industrious work force, high savings and investment rates,
and intensive promotion of industrial development and
foreign trade have produced a mature industrial economy.
Japan has few natural resources, and trade helps it earn the
foreign exchange needed to purchase raw materials for its
economy.

 上記文中における定表現the Japanese economyは「他国では
なくて、日本という一国の経済活動の規模,総体」といった感じ
の意味であると解される。上記テクストでは、日本経済は、中国、
米国のそれと対比されている。この対比意識が反映された結果、
一般論的なJapanese economyではなくて、定表現the Japanese
economyのほうの表現が使われたのではなかろうか。
 the Hitachi companyは「日立という一つの組織体」が意識さ
れた表現になっている。the Japanese economy という表現とthe
Hitachi company という表現の間にも英語母語者の直感が隠さ
れているように感じられる。the Japanese economyにも「日本
経済というひとつの総体」という意味あいが感じられる。定表現
には「ひとつのまとまり」という意味合いが感じられる。
 LondonからOxfordに通じる道路はOxford Streetのように固
有名詞化されている。しかしこれの元になっている表現はthe
Oxford streetである。the Japanese economy中のeconomyも
the Hitachi company中のcompanyもthe Oxford street中の
streetも元来,普通名詞である。これらにJapanese, Hitachi,
Oxfordのような固有形容詞的な先行語がおかれると、それぞれの
表現に意味はonly oneに決まると意識されるので、そのいずれも、
定表現化される。それぞれの定表現は、しかしながら、完全に固
有名詞化された表現ではない。
 さらに「進化」すると、the Oxford streetはOxford Streetと
なり,streetという普通名詞も「昇格」して固有名詞の一部にな
る。英語圏から離れているthe Hitachi companyの場合は
HITACHI COMPANYのようには「進化」をしきれずに,HITACH
のみの標示に止まる固有名詞を標榜している。(Ford Motor
Companyは完全に固有名詞化しているが、The Boeing Company
のように定表現による会社名も存在する。)
 the Japanese economyは固有名詞化するほどの「力量」を持
ち合わせていないので定表現化に留まる。しかし、定表現化によ
ってonly one的な意を内包するとともに、the American economy,
the European economyなどとの対比化を図ることができるほど
までの力を得ているように見える。


● 「さよなら」ということば

F先生からつぎのような
ご主旨の啓発をたまわりました:

世界の別れの挨拶には
「神のご加護を」の意味のもの(Goodbye, Adieuなど)と
「またね」の意味のもの(See you again, 再見など)の2種類がある。
日本語の「さようなら(仕方がない)」のような無常観を示す
ような言葉はない。
「さよなら」は、見方によれば
日本人の切なさ(この言葉も英語に訳せない)を
示す美しい言葉かも知れない。
実際日本人が挙げる美しい日本語には大抵
「有難う」と「さようなら」がある。

※さらに、M先生からもつぎのような
ご啓発を賜りました。


Raymond ChandlerのThe Long Goodbyeにはつぎの
ようなシーンがあるそうです:
私立探偵フィリップ・マーロウが
(後にも先にも)ただ一人愛した女性と別れた後寝室に戻り、
枕の上に黒い髪の毛を発見して、
「腹の底に鉛のかたまりをのみこんだような気持ち」を覚えながら、
「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」(清水俊二訳)
と言う。
この(切ない)章句は、先生はいつも忘れられません、と
おっしゃられます。

※さらにつぎのようにご啓発くだされました:

(To say goodbye is to die a little. (Vintage, 319)  
村上春樹訳では、
「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」
となっているそうです。
〔なお、この章句は「この1句のみによって後世に名を残したフランスの
小詩人アクロールの詩句」(『物語の迷宮』、101)とか〕)

M先生はこういう(寂しい)場合には
中国語の「再見」とか、韓国語の「安寧」のほうが、
寂しさの度合いが穏便かなとお思いになられて、
教室でも、友人間でも、そしてメールでも
「再見」「安寧」を折々に使っておられるそうです。



To say goodbye is to die a little. (Vintage, 319)  
はすてきなことばですね。
この英文を〔「死ぬ」という言葉を容れない和文〕
にしてみたいなあ、と思いました:

「さよならと囁くは、
 魂をしばし彼岸に放つに似たり」

「さよならと ささやく時は 寂しけり
  しばし彼岸に 吾はさ迷う」
        (5−7−5−7−7)

● あとがき Postscript

 英語固有名の研究といえば,織田 稔先生が1993年に上梓された
『直示と記述同定―英語固有名の研究―』の大著が,
わたしのわずかばかりの蔵書のなかでは,大切な宝物のひとつです。
先生の12年のご研究の成果がこの一冊に凝縮されているように思います。
発行は風間書房さんです。ご興味あられますかた,
どうぞ一度,ごらんになってくださいますよう
ご案内させていただきます。
●写真:ヤマトリカブト 茂木一九三大兄様(横浜市)からいただきました。


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