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NO.424
平成20年1月13日
January 13,2008

● 清水英雄先生のメッセージ


母はひろいな でっかいな


母はひろいな
でっかいな
全てのことを
包みこむ
だから
いつまでも
心の
奥底に
残ってる

母へのおもいは
おおきな
おもい

いつまでも
心に
ひろがる
おおきな
おもい




Mother's Heart, Broad and Big Enough


Mother's heart was broad and big enough
to accept and contain everything conceivable.

That's why I am infinitely reminded of her,
deep in my heart.
My affection toward her is great and deep.

Infinitely it spreads broad and deep in my heart.

(英訳:坂井孝彦 英文校閲:Frances Ford)


● 継続と集中によるよりよい外国語学習法をめざして(その2)

横浜時事英語クラブ月例会
2006年1月28日
かながわ労働プラザ(石川町、横浜市)

               坂井 孝彦
                (横浜時事英語クラブ)

○ リスニング・リーディング学習方略

10. 細部にいたるまで「深く」、「細かく」聞く (初期から中期)。
intensive listening [dictationなど。音変化のデータ・ベース形成を初めと
した基礎固め。活動の定期性も重要:「毎日聞かないと ― 耳の場合は
慣れだから」]
(坂井):dictationとは音声を書き取る作業で、書き取った後でスク
リプトを使い、聞き取り内容を細部まで確認する方略です。これは
きわめて有効な方略のようです。

11. 意味内容・情報に着目して、「広く」聞く (中期以降)。
extensive (global) listening
[データ・ベースの使用を自動化してゆく過程。活動の定期性も重要:「毎
日聞かないと ― 耳の場合は慣れだから」]
(坂井):「データ・ベースの使用を自動化してゆく」とは、自然な
韻律にのせて大量の外国語をきいてそれを己の体に内在化させる、
というような意味のようです。

12. 細部にこだわり「分析的に」読む (初期後半から中期)。intensive
reading 神保先生コメント:その一例が訳読。
[文法・構文などの知識のデータ・ベース化とその意識的な使用]
(坂井):文法、構文を難しい、と言って逃げる人に、英語がスムー
スに話せる未来はないそうです。文法力をつければ、あとは語彙だ
けの勝負でハイレベルの会話が可能になるようです。

13. 意味内容に重点をおきながら「大量に」読む (中期から後期)。
extensive reading
神保先生コメント:ペーパーブックの数百ページを短期間に読む。
[データ・ベース使用の自動化と言語経験の増大]

14. 繰り返し音読する(初期から中期)。 reading aloud many times
[基盤形成に役立つ。我流に読むのではなく、付属テープを何度も聞き、
変な癖がつかないようにして繰り返し音読することが重要]
(坂井):
*意味も分からずに口から音をだすだけの音読は時間の無駄のよう
です。音読はリーディングというスキル育成にとどまらず、広く外
国語の基盤形成に役立つようです。音読では、モデル音声で標準的
な読みを確認してから音読するのがよいようです。音読を繰り返す
ことによって、解釈の確認、修正、深化を図るようにします。

*音読は話し書きに必須不可欠なインプットです。原文の語り手に
なる、役者になりきって役者のように音を出せるようになれば本物
だ、ということを言われる方もおられます。

15. 母語に訳さないで読む (中期から) 。直読直解。
[初期においては母語の介助が不可欠のようであるが、中期以降でのこ
の方略に言及する者が多い。この方略は、使用の初めにおいては努力
目標的な色彩が強く「普通は訳さないで読むが、一読してわからないとこ
ろは分析して読む」との指摘のように、やがて難易度に応じて切り替えら
れるようになる]
(坂井):
*意味を取り違えた速読は時間の無駄です。基礎文法も身について
いない初級者が精読を飛び越えていわゆる直読直解に入ると、
効果よりも実害が多くなるようです。
ましてや単語の意味も確認せず読み続けると
「分からないままに読む」「間違って読む」ことに鈍感にな
って言語センサーがぼろぼろになるよ、という人もおられます。

*母語に訳さないで読む、ということはすくなくとも英検2級、
できれば準1級くらいから始めるのがよい、という感じです。しか
し、これには異論もあります。

(同時通訳の世界では、英語を頭から訳すという訓練が
おこなわれるということです。これに関するさまざまの
文献がおおやけにされております。先人先達のおかたの
英日転換技術がさまざまに工夫されているようです。
この読み方のほうを「直読直解」と称されるおかたも
おられるようです。言語の線状性=linearityという性質に
かんがみて、発話の左から右への方向を順行と
よぶことにしますと、
英検2級程度以上の実力のある学習者には
この順行読みが奨励されていくのがよいようにおもわれます。
(この読み方は和文英訳作業や英文作成のための
感性発揚にも役立つようです)
ただし、異論も多々あるようですので検証が必要なのかもしれ
ません。これに関する先行研究もきっと多々存在しているの
だろうとおもいます。)


○ スピーキングと発音・韻律学習方略

[スピーキングについての方略]
16. 基本文例・表現を大量に徹底的に暗記する(初期から中期)。
memorizing basic sentence patterns and expressions galore
(坂井):
暗記作業を促進するためには、
*「大きな声を出す」
*「その自分の声をテープレコーダなどで聴く」
*「手を動かして書き取る」
―五感を総動員することが必要です。暗記作業は真剣勝負で、もっと
も負荷がかかります。

外国語の文を覚えるにはRead and look upから入るのがよいようで
す。
* 初めはテキストをみて音読する。
* 次にはテキストをみないで顔をあげてその音声を発する。この場
合、パートナーのいるペアワークの場合はパートナーが家庭教師
役をつとめる。
* なかなか覚えられないものには「コンチクショー印」をつけてお
く。
* すこし長い文を覚えるには、その文を情報の単位にわけておいて
(文章全体にわたって、スラッシュを使って意味の塊ごとに分断
しておいて)、文章の下流のほうの意味の塊から上流側の意味の塊
にむけて逆行しながら暗記する単位を増やしてゆくとよい。上流
側から覚えようとすると下流側がなかなか覚えきれないので、下
流側から上流側に遡って覚えるようにするとわりあい気持ちよく
覚えることができます。

17. パタン・プラクティスなどを通して、暗記したものを自由に使えるように
練習する (初期から中期)。
practice using memorized sentence patterns and expressions through
pattern practice freely
(坂井):
*「読み書きはあまり得意でないが話すほうならなんとかゆける」
というのは虚言のようです。
*意味もとれない英文、正しく書けない英文がしゃべるときだけ正
しく出てくるということはあり得ない。
*英語の会話は小さなスピーチから成り立っている。これをどのよ
うに組み合わせできるかが話す能力の基準になります。
*丸暗記だけでとまってしまうと、未来永劫、自分の言葉で話せな
いから、暗記したセリフなどを俳優や役者になったつもりでその真
似をしてみるのがよい練習になるようです:
―そのセリフはだれがしゃべっているのか、だれにしゃべっている
のか。
―どういうときにしゃべっているのか、どういう場所でしゃべって
いるのか。
―どういう段取りや形式にのっとってしゃべっているのか。
こういうことをセッティングした上で俳優や役者になったつもりで
気持ちを込めてそのしゃべりかたの真似をしてみる、とよいようで
す。

18.「流暢さ」を重視する (初期から中期)。 fluency
[基盤形成:実践の場面に臨んでは、あまり「正確さ」にこだわらず、とに
かく学んだ表現をつかってみるという姿勢が必要となる]

19. 外国語による独り言や会話シミュレーションをする (中期)。
[その後、中期前半あたりからは、この活動を積極的におこない、外国語
学習環境にありがちな使用機会の欠如を補うように努める傾向がみられ
る。]
(坂井):17項に述べたようなイマジネーション・役者になりきる方
法、あるいはぶつぶつ法などをつかって、インプットされた知識を
アウトプットする訓練をしてゆく。スポーツ訓練のようなプラクテ
ィスが大切になるようです。

20. 正確さを重視する (中期から後期)。 accuracy
[中期後半から、少し難しいと思えるような活動・タスクへと自らをプッシュ
してゆき、さらに中期から後期にかけては、「流暢さ」よりも「正確さ」に重
点をおくように方略を切り替えていく。このような一連の方略の流れがス
ピーキング能力の向上に有効なようである]
(坂井):
* 「すこし難しいと思えるような活動・タスク」とは、「情報伝達コ
ミュニケーションまたは挨拶コミュニケーション」から「説得コ
ミュニケーションまたは会議コミュニケーション」へと軸足を移
してゆく、ということのように思われます。
* 「プッシュしてゆく」とは「追い込む」というような意味合いで
しょう。16項−20項のような一連の方略がスピーキング能力の
向上に有効のようです。


● 日本の歌心の英訳比較:心情・情感の示し方・伝え方 (その2)

 ―Greg Irwin・中野一郎・Susan Osbornの各英訳歌詞から
                         坂井 孝彦


1. あおげば尊し (1884)  作詞・作曲者不詳


 With a Grateful Heart [Aogeba Totoshi] (Anonymous)
       by Greg Irwin
   
  /How Much I Owe To My Teachers (Anonymous, Ministry of Education)
               by 中野一郎
    
    //Graduation
        by Susan Osborn
     
1.
あおげば尊(とうと)し 我が師の恩
      With gratitude and pride today
   With honor in my heart
    
    /How much I owe to my teachers,
    /How much I owe to them,

      //Suspended on the edge of time
          //Remembering who we are


教えの庭にも はや幾年(いくとせ)
      The day is here.
   I'm on my way
    
    /How fast the days,
    /How swift the days,
    /How quickly they flew by,

        //Our blue green planet spins and turns
          //Around a burning star


思えばいと疾(と)し この年月(としつき)
      The time has come to part
   What can I say to thank you now?
    
    /How I’ll miss the days I spent here,
    /How I’ll miss the life here,

        //Across the silent galaxies
          //The universe unfolds


今こそ別れ め いざさらば
      How can you ever know
   How much I grew because of you?
   With a grateful heart, I'll go
    
    /Farewell to thee,
    /Farewell to thee,
    /I say farewell to thee!

          //This great ship sails the seas of space
          // Toward the vast unknown



2.
互いに睦(むつ)みし 日頃の恩
      Now looking back on all our days
      Remembering the years
    
    /How much I owe to my playmates,
    /How much I owe to them,

        //Companion travelers all are we
          //Whether stranger foe or friend

別るる後(のち)にも やよ 忘る な
      The fun and games, the ups and downs
   The laughter and the tears
    
    /Forget-me-not,
    /Forget-me-not,
    /How I miss them always,
    
      //Evolving through these births and deaths
      //A spiral without end
    
    
身を立て名をあげ やよ 励めよ
      And it was you who taught me to
      Follow my heart and dreams
    
    /Be ambitious and kind always,
    /Don’t forget thy smile,
    
      //Sharing joy and sorrow
      //Our laughter and fears
    
    
今こそ別れ め いざさらば
      I'll say good-bye, try not to cry
   Gone way too soon, it seems
    
    /Farewell to thee,
    /Farewell to thee,
    /I say farewell to thee!
     
     //We’re learning in this school of life
     //Together through the years



3.
朝夕馴(な)れにし 学びの窓
     Day after day I walked this road
     With true and special friends
    
    /How I shall miss my old schoolrooms,
    /How I love them so much,
    
      //The universe within our hearts
      //Embraces all that live
    
    
蛍のともし火(び) 積(つ)む 白雪(しらゆき)
      The best of times in all our lives
      Will we ever meet again?
      With tearful eyes, we'll celebrate
    
    /Oh, the light gained
    / From fireflies
    / And white snow that lay deep,
    
      //True rest we find and peace of mind
      //Are all we have to give
    
    
忘るる間(ま)ぞなき ゆく年月
      Thank each and everyone
      So call my name, I'm on my way
    
    /How I’ll miss the days I spent here,
    /How quickly they flew by,
    
      //Our place is here our time is now
      //Sunrise to sunset
    
    
今こそ別れ め いざさらば
   My life has just begun
      My life has just begun
   Our lives have just begun
   Here I go. I'm on my way!
   
    /Farewell to thee,
    /Farewell to thee,
    / I say farewell to thee!
    
      //The beauty of these days we share
      //I never will forget



(考察)
Irwinの訳詞は、
新たなる出発に重きをおいた歌詞となっている。
恩師に対して,あるいは,友人に対して
感謝の念を述べ、
自らのprideやhonorに言及し、
さあこれからが本番だ、という内容である。

commencementという英単語は
「卒業式」と邦訳されることが多いようである。
to commenceとは,
to begin or to start somethingの意であるから,
米語圏文化のなかで育ったIrwinにとっては,
卒業式は「業(なりわい)を終えたことに対して
それのお祝いをする式」であると言うよりは,
「さあ,これからが人生の本番だ」
という意気に燃えた
「出発をお祝いする式」
というような意識に包まれている
大事な拠点として捉えられているようだ。
下記の英訳歌詞の下線部に,
その一端を垣間見ることが出来る。


(1)  あおげば尊(とうと)し 我が師の恩
   With gratitude and pride today
      With honor in my heart

(2)  今こそ別れ め いざさらば
      How can you ever know
   How much I grew because of you?
   With a grateful heart, I'll go

(3)  朝夕馴(な)れにし 学びの窓
      Day after day I walked this road
      With true and special friends

(4)  忘るる間(ま)ぞなき ゆく年月
      Thank each and everyone
      So call my name, I'm on my way

(5)  今こそ別れ め いざさらば
   My life has just begun
      My life has just begun
   Our lives have just begun
   Here I go. I'm on my way!

「蛍のともし火、積む 白雪」
のような日本、あるいは、中国の文化に
根ざす語句の英訳は
省除されて,
別の英語語句を補っている。
もしかしたら、
こういう内容は直訳だけによるのでは,
英語圏の人々には非合理的に見えて
その意図する意味が伝わらないのであろう,
と推察される。

   蛍のともし火(び) 積(つ)む 白雪(しらゆき)
      The best of times in all our lives
      Will we ever meet again?
      With tearful eyes, we'll celebrate

つぎの日英発想の差も注目されてよい。
「身をたて名をあげる」に対応しては,
Be ambitious.
のような語句をあてがわないで,
Follow your heart and dream.
というような如何にもアメリカ的な
「夢を追いかけてゆく」
というような進取の機運に富んだ表現を
優先させる発想に切り替えた訳詞としている。

   身を立て名をあげ やよ 励めよ
      And it was you who taught me to
      Follow my heart and dreams


中野訳は、
原文にかなり忠実ないわば逐語訳で、
恩師への感謝・過ぎし日々への追憶
に重きをおいた英文となっている。

中野訳とIrwin訳との対比によって、
日米間の「卒業」に対する意識の違いを
認識することができる。

「なりわいを終える−finish(日本)」
と「新たなる出発−commencement(米国)」
という対比的な意識が二つの歌詞に表現されている。


Osborn訳は、
ほぼ全面的な改訳ないしは創造訳である。
新たなる出発への賛歌である。
印象派風のそしてあくまでも未来志向風の美しい歌詞となっている。

 互いに睦(むつ)みし 日頃の恩
        //Companion travelers all are we
          //Whether stranger foe or friend

ここには,シラーを彷彿させる
「人類みな兄弟」のような賛歌がみられる。

 別るる後(のち)にも やよ 忘る な
      //Evolving through these births and deaths
      //A spiral without end

ここでは,
永遠の命が歌われており
輪廻の思想にまで言及しているようにも見える。
    
 身を立て名をあげ やよ 励めよ
      //Sharing joy and sorrow
      //Our laughter and fears

ここでは,
喜怒哀楽を共にしてゆく
隣人愛,家族愛のような感じのことばが
散りばめられていて,
互いに手をとりあって生きていきなさい,
という内容が示唆されているようである。
    
 朝夕馴(な)れにし 学びの窓
      //The universe within our hearts
      //Embraces all that live

ここでは,
William Blake(1757-1827)の
”To see a World in a grain of sand,/
And a Heaven in a wild flower,/
Hold Infinity in the palm of your hand,/
And Eternity in an hour.”
を彷彿させるような語句を散りばめて
生きとし生けるものとの共存を
訴求しているようにも見える。

 蛍のともし火(び) 積(つ)む 白雪(しらゆき)
      //True rest we find and peace of mind
      //Are all we have to give

ここでは,True restとpeace of mindを導入しており,
”Silent Night”の歌のような静けさ,
穏やかさを歌い,
賛美歌に通じるような構成としている。

「仰げば尊し」や「蛍の光」は
元はと言えば「賛美歌」だということで,
この観点から推察すれば,
Osbornが上記のような語句を
ここになぜ導入してきたのかという理由を
納得することができそうである。
    
 忘るる間(ま)ぞなき ゆく年月
      //Our place is here our time is now
      //Sunrise to sunset

ここでは,hereとnowとをキーワードとして登場させて,
「今この一瞬一瞬を真剣に大事に生きてゆく」
という宗教的哲学的な教示にも通ずるような
構成とさせている。

「起きているときはいつもいつも
人生を真摯に生きてゆけ」
というような内容のように
受け止めることが出来そうである。

Osbornの訳詞では,
わずかな語数のなかに示唆されている内容が
深遠に込められており,
英文を簡潔にきびきびと表現構成する上で,
見習うべきポイントが多々あり,
よい参考になる。


● あとがき Postscript

 ○ 祐本寿男先生からいただいたお手紙(2004年正月)から:

 機械より人間 チャールズ・チャップリン
 
 生活を豊かにするはずの機械が
 逆に私たちを貧困の中に放り出しています。
 知識は私たちを皮肉にし、知恵は非情・冷酷にしました。
 考えるばかりで、思いやりをなくしてしまったのです。
 私たちにとって必要なのは、機械よりも人間なのです。
 頭によさよりも、親切、そして思いやりなのです。
 そうしたものがなければ、人生はただの暴力、 
 一切はただ破滅あるのみです。

 Machinery that gives abundance
  has left us in want.
  Our knowledge has made us cynical;
  our cleverness, hard and unkind.
  We think too much
  and feel too little.
  More than machinery
  we need humanity.
  More than cleverness,
  we need kindness and gentleness.
  Without these qualities,
  life will be violent
  and all will be lost.


● あとがきの2 (再掲と補足)

行方昭夫先生の『実践 英文快読術』
が発売されました。岩波現代文庫の
最新刊です。発行日:2007.12.14.

表紙帯にある「ことば」:
英文を味わう快感!
―懇切丁寧な解説で併走します―

「コンテクストの重視」というお考えかたが
貫ぬかれておりましてこれが印象的です。

つぎのような逸話も紹介されています。
おもわず
ニッコリしてしまいました:

------------------------------------------------
(引用はじめ)
(p. 23)
正しい意味はコンテキストで決まりますね。
前後関係、文脈という語をあてています。
日本語の場合でも
コンテクストは大事です。
私が挙げる例をここでもご紹介しましょう。
笑い話です。

国語のテストで、
「□肉□食」の空所を適当な語で埋めなさい、
という設問があり、
食い意地の張った息子が
「焼肉定食」と答えたと嘆いた母親。
やはり国語のテストで、
「蛙の子は(     )」の空所補充の設問に娘が
「蛙の子はオタマジャクシ」と答えたと嘆いた父親の話。

(p. 75)
(英和辞典を)編纂している友人に
聞いた話では、
「この箇所のもっとも適切な訳語がでていない」
という抗議がよく来るそうです。
しかしあらゆる場合に
合致する訳語を載せるのは無理です。
基本的な意味がしっかり載っていれば、
後はコンテクストに合わせて読者、訳者
が自分の力で考え出すべきだと、
私は思います。


(pp. 26-30)
P: You divorced her.
D: No, she divorced me. Extreme cruelty.
   I hit her with a skillet.
P: You didn't.
D: A stainless-steel skillet.
   Still warm from propovers.
   Right across her behind.
   Raised a welt that lasted for weeks
   according to her lawyer.
   I was never privileged to see it.
P: I don't believe you.

(雑な読み方):
P:その人を離婚したんでしょ?
D:いや違う。彼女が僕を離婚したのだ。
  とっても残酷だよ。
  ぼくはフライパンであいつをなぐってやった。
P:まさか、そんなことはしなかったでしょう?
D:ステンレスのフライパンだったよ。
  マフィンを焼いた後でまだ熱かった。
  あいつの背後から斜め右になぐった。
  あの女の弁護士によると、
  数週間続くみみずばれを起こさせたそうだ。
  ぼくはそれを見る特権を与えられなかった。
P:わたしはあなたを信じないわよ。

(正確にコンテクストを読んでみると):
P:その人を離婚したってわけね?
D:それが違うだな。あっちが僕を裁判所に訴えたのだ。
  ひどい暴力を振るったという理由でだ。
  実はフライパンでなぐったんだ。
P:まさか!
D:P:嘘ばっかり!
(引用終わり)
----------------------------------------------


I don't believe you.
を「嘘ばっかり!」と訳されています。

先生と立ち話をさせていただいたときに
こうしたすばらしい訳文を
どうやって思いつかれるのですか、
とお尋ねしましたところ、
「きちんと英文を読む喜び、英文を味わう快感」
についてお話くだされ、これを楽しんで
つづけてゆくと
「自然にこういう訳をつくることができますよ」
というご主旨の説明をしてくださいました。


(補足)
目黒暁三大兄様からつぎのような関連情報を
いただきました:

-------------------------------------------------------------
I don't believe you!

米国でしばしば経験した表現に"Are you kidding?"というのがありました。
日本から来たばかりの同僚があれはどういう意味なのだというので、
“嘘ばっかり!” 又は “ウッソー!” 又は“本当??” というニュアンスだ
と解説してやったのを思い出しました。
------------------------------------------------------------

※ 目黒大兄様、ありがとうございます。
     「うっそー、冗談だろう?」
  「マジー?}
  「ありえなーい}
  あたりもいいのかもしれませんね。
  You gotta be kidding!

    つぎのところも興味をもって読みました。
    英語のほうでは
    名詞句のみや修飾句のみが発話されていて
    かならずしもセンテンスになっていません。
    和訳のほうでは、若干の語句を
    加えてわかりやすいこなれた
    日本語になっています。
    こんなところも
   ぜひ見習わせていただければ、
   と願っております:

A stainless-steel skillet.
   「ステンレスのフライパンでやった。」
Still warm from popovers.
   「マフィンを焼いたまだ熱い奴だ。」
Right across her behind.
Raised a welt that lasted for weeks
   「尻に全治数週間のみみずばれができた。」
according to her lawyer.
  「もっともこれは弁護士の証言で。」
 I was never privileged to see it.
 「ぼくはそこを拝ませてもらえなかったがね。」



● あとがきの3

矢野安剛先生(早稲田大学教授)の書かれた
<「国際英語概論」を必修にすべきか>という
ご論考のなかに、今後の英語の方向性が
いくつかの観点から例示されていました:

1.地域で表現が違ってもよい。「アジア英語」が
力をもつようになり、ネイティヴ・スピーカーが
つぎのような英語を学ぶときがくる。
@ You are happy, isn't it?のように付加疑問は
  isn't itに統一されてゆく。
A 性別をつけたcousin brotherや、prepone
  などの造語もみとめられてゆく。
(イギリス英語 potato chips
   = アメリカ英語 French fries)
(オーストラリア英語 jumback
   = アメリカ英語・イギリス英語 sheep)

2.多様な言語的、文化的背景をもつ人々の間で
使われる英語は、相互理解度を高めるために
標準化される。規則化され、特定文化を背景
にした慣用句やメタファーはあまり登場しなくなる。
@ネイティヴ英語特有の不明瞭な発音や
internationalの[t]などの脱落はない。
Asymposiaでなくsymposiumsのような規則化
に動いている。
Bアメリカ英語のI have butterflies in my stomach.
やフィリッピン英語のI have a mouse in the chest.
のような個々の文化特有のメタファーではなく、
I'm nervous. のような汎用性のある英語である。

3.国際英語は言語しては、規則化、単純化へと
動いているが、多様な文化の表現手段として
より寛容的になってきている。
@「親しみのある関心の表現」という挨拶機能に、
日本語の「おでかけ?どちらまで?」や
中国語の「もうお食事はお済み?}の英語版が入って
くるかもしれない。
(出所:『英語教育』(2007年12月号)大修館書店.
 pp. 44-45)


※ < You are happy, isn't it?のように付加疑問は
      isn't itに統一されてゆく >
        となれば、英語学習者にとっては朗報かもしれません。
    いまのところは、下記のような感じの付加疑問で
    ゆくのもよいでしょうか:
    
 (1) You are happy, right?「でしょ?」「ですね?}
  (2) You are happy, correct?「でしょ?」「で正しいですか」
  (3) You are happy, yeah?「だよね?」「だねえ?」「そう思わない?」
  (4) You are happy, don't you think?「そう思わない?」「そうでしょ?}
  (5) You are happy, wouldn't you say?「そう思わない?」「だよね?
  (6) She's not interested, wouldn't you say?「だよね?」
  


● あとがきの4
  
  アメリカ在住40余年の倉橋良仁兄さまからの
  おたより:
  
  ※(勝手ながらご紹介させていただきたく
  お願いいたします。なお倉橋様は昨年8月、
  サンディエゴから来日いただき、横浜時事英語
  クラブ月例会にて英語によるご講演を
  いただきました。)


新年明けましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願いします。
昨年は10月に当地San Diegoでは山火事があり、
皆様にはご心配をいただき
感謝申し上げます。
われわれは、幸いに火事に攻められることもなく
無事でした。
       (中略)
皆さんの健康と楽しい平和な生活を心から祈っております。また
お会いできることを楽しみにしています。

倉橋良仁

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追伸、 私は昨年5月に「英語は革命的手法で学べ」と題して著書を出版しました。
一昨年6月に引退してから毎日せっせと書き上げました。私の本を読んでみたら
面白く、確実に英語の勉強になり、繰り返して読んでいる、もっと宣伝したらよい
と数々の経験者・有識者から励まされました。同僚・友達・特に若い人に
ご紹介頂ければ幸いです。また、現役のかたは部下の方に、会社で一括購入して
配布されるのも御社のためにお勧め出来ると確信しています。
私の Yahoo! Blogも覗いてみて下さい。

私の著書:
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4286027295/250-9867099-4908255?SubscriptionId=1KRYNGAFRTS188K9Y7G2/ref=nosim
e-book 版:
http://www.boon-gate.com/
My blog(ブログ):
http://blogs.yahoo.co.jp/kurahashi101/


<End>
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●写真:(1) 24節気「小寒」の書画―落合 勲 様 から戴きました。
●写真:(2) うらての秋:小山の裾模様


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