NO.015

平成15年 4月10日
April 10,2003

● 無心の歌 ― 笑いの歌 (その2) 
Songs of Innocence, "Laughing Song " by William Blake

横浜時事英語クラブの近藤雅子さんから(再掲):

「Blakeが好きなわけ:
-----私が小学校6年になったとき(昭和22年)、教科書がそれまでの新聞紙を折りたたんだような粗末なものにかわって、きれいな色刷りのちゃんとした装丁の本になり、国語の教科書も内容ががらりと変わって、それまでのむずかしい漢字や古くさい文章が姿を消して、美しいお話ややさしい詩でいっぱいの楽しい読み物になったんです。

 そして、そこになんとBlakeの「笑いの歌」というのが載っており、もちろんその時はBlakeという詩人の名は知らなくて、ただ「みどりの野原で子供たちが楽しく遊んでいて、木蔭のテーブルにはサクランボとクルミがあって、メアリとスーザンとエミリとがかわいい口をあけてハ、ハ、ヒと笑う」というような楽しい情景が気に入って心に残っていたのでしたが、大学生になってBlakeの "Songs of Innocence"を読んで、同じ歌(Songs of Innocence)が出ていたので、ほんとにびっくりしたのでした。

それにしても、終戦直後、小学生の国語の本にBlakeを載せるなんて、当時の文部省はかなり粋だったとは思いません?-----」
                  (引用終わり)

● Songs of Innocence, "Laughing Song " (再掲)
by William Blake (1757-1827)
(出所:http:// www. dovecottage. com/Blake/ Laughing% 20Song .html)

When the green woods laugh with the voice of joy,
「みどりの森が 笑い声 喜びあふれて ハッハッヒッ」
And the dimpling stream runs laughing by;
「エクボをつくって さざなみ(漣)が 笑い流れて ハッハッヒッ、」
When the air does laugh with our merry wit,
「わたるそよ風 なごみつつ みんなのはしゃぎに ハッハッヒッ、」 
And the green hill laughs with the noise of it;
「みどりの丘が 笑い声 こだま返して ハッハッヒッ、」

when the meadows laugh with lively green,
「みどりしたたる 牧の原 活き活きはつらつ ハッハッヒッ、」
And the grasshopper laughs in the merry scene,
「跳び出すハタハタ つりこまれ 愉しい場面で ハッハッヒッ」
When Mary and Susan and Emily
「メアリー・スーザン・エミリーの 笑いはちける ハッハッヒッ」 
With their sweet round mouths sing "Ha, ha he!"
「かわいい口元 丸くして 歌声かろく ハッハッヒッ、」

When the painted birds laugh in the shade,
「羽うるわしい小鳥たち 木蔭でさえずる ハッハッヒッ、」
Where our table with cherries and nuts is spread:
「みんなの木蔭の 食卓に ひろげる ナッツやサクランボ」 
Come live, and be merry, and join with me,
「さあゆきますよ いきいきと 愉しくみんな 集って」
To sing the sweet chorus of "Ha, ha, he!"
 「歌うコーラス 声合わせ きれいに優しく ハッハッヒッ」
                      (和訳:坂井孝彦)

● わらいの歌―
    昭和22年 文部省の小学校六年 国語教科書(上)から。

国立教育政策研究所図書館(目黒)には、江戸時代の往来物から戦前戦後の教科書までが、所蔵されているそうです。
近藤さんは、念のために、この図書館で、下記の訳文を確認されてきてくださり、その訳文をお送りくださいました。
近藤雅子さんのご好意により転載させていただきます。

みどりの森が、喜びの声でわらい、波だつ小川が、わらいながら走っていく。
空気までが、わたしたちのゆかいなじょうだんでわらい、みどりの丘が、その声でわらいだす。

牧場が生き生きしたみどりでわらい、きりぎりすが、楽しい景色の中でわらう。
メアリとスーザンとエミリとが、かわいい口をまるくして、ハ・ハ・ヒとわらう。

わたしたちが、さくらんぼと、くるみのごちそうをならべると、その木のかげで、きれいな鳥がわらっている。
さあ、元気でゆかいに、手をつなぎましょう。
うれしいハ・ハ・ヒを、合唱しましょう。
   (昭和22年 文部省の小学校六年 国語教科書(上)から)

● 土居光知 訳:

みどりの森 喜びの声あげて笑い
えくぼする水 えみひろがって流れ
風 われらの たわむれごとを笑い
みどりの岡 やまびこをかえすとき

きりぎりす 楽しいけしきのなかで うたい
牧場はしたたるような みどりのえまい
メアリとスザンとエミリ
かわいい まるい口で うたう ハッ ハッ ヒィ

羽美(はねうるわ)しい いろ鳥は 木の間で笑い
木蔭の 食卓にはさくらんぼやくるみ
さあ おいで みんな いっしょに
楽しい合唱をしよう ハッ ハッ ヒィ
 (William Blake. 土居光知訳   『ブレイク詩集』平凡社. 2001. pp20-21.)

● あとがき 
・教科書なら、江戸時代の往来物から戦前戦後の教科書までが国立教育政策研究所図書館(目黒)には所蔵されている、と近藤雅子さんから。
目黒駅からバスでゆけるようです。

近藤さんは、横浜時事英語クラブのメンバー。
才媛であられます。
私の和訳文は、七五調にして詩的な雰囲気を出して見たいと欲張ってみた一作品です。




・写真の説明:
「2003年はひつじの年」― 萩原理樹さん(学友)から:
今年初、版画個展を開催されるほどまでにご精進されています。